【安産川について】
手取川の支流の内、最も下流部河口に近い河川です。 源流は河口より約4km上流の白山市水島地内で、河口は手取川の河口付近(白山市美川地域)で合流します。 登録上では一級河川で源流は白山市長屋町、河口は白山市永代町で全長2,2kmとされています。 流域は手取川扇状地の最も先端部に位置するため、過去よりその流れの殆どは地下水が湧き出たものです。 流れの殆どが白山手取川の伏流水であるので、水温は冷たく、夏でも14〜20度を上まることはありません。 生活に密着した信仰の川で、昔からの言い伝えでその川の水を飲むと子宝・安産に恵まれる言われていました。 安産川は手取川扇状地の最下流でありながら、水は済みきっており、低温であることから、梅花藻やミクリ・フサモなどの水草が豊富で、湧水域に生息する淡水 魚トミヨ(当地では通称「はりんこ」)やシマドジョウ・スナヤツメなどの魚類が多く生息しています。 以前から地域の住民の生活に密接に関わっていたこともあり、農業水・飲料水・洗濯・食品加工などに利用されています。 |
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【トミヨ(はりんこ)について】
この川の扇状地で、湧き水のある安産川(やすまるがわ)に生息する「トミヨ」という小さな淡水魚のことです。 学名:トミヨ(トゲウオ科・トゲウオ目・トミヨ属) 「トゲウオ類」は、背びれのトゲが7本以上あって黒ずんだ色彩のトミヨ属(体長約5.5センチ)と背びれのトゲが3本でやや大きめのイトヨ属に分かれてお り、白山を源流として流れる手取川の河口に位置する石川県白山市美川地域(旧石川郡美川町)周辺では、これらを「はりんこ」と呼んでいます。 「はりんこ」は、巣をつくる魚として知られています。雄が巣をつくり雌に卵を産ませて卵が孵化し稚魚が自力で泳ぎ出すまで巣と卵を守ります。 雄は稚魚が泳ぎだすと死に、雌も数回産卵した後、死んでゆきます。 多くは一年魚で、誠にはかない生命です。 「はりんこ」は夏でも冷たい湧き水のある15度前後の清流にすむ冷水魚であり、それだけに環境変化による影響も受けやすく、昔は周辺のいたるところで見ら れた「はりんこ」も今では、手取川河口近くの支流の一部でのみ生息し、幻の魚となっています。 産卵期の4月〜7月には雄は婚姻色で黒っぽくなり縄張りを持ち、直径4cmほどの球形の巣を水草などで作ります。 産卵しそうな雌を自分の巣に誘い入れ、産卵させ孵化するまで巣と卵を守ります。 卵が無事孵化し稚魚が誕生すると親魚は1年という短い一生を終えます。 トミヨの名の由来は、田んぼや流れの緩やかな小川などに住んでいたことから、止水魚(とみよ)あるいは田水魚(たみよ)と呼ばれていたところにあるようです。 美川町(現白山市:手取川の河口部)では古くから「はりんこ」と呼んでいます。 近年の湧水の著しい減少や河川改修などでその生息個体数は30〜40年前と比べると全国的にも極端に減っています。 石川県のトミヨは「いしかわレッドデータブック・絶滅の恐れのある野生生物」の中で、絶滅危惧1類(絶滅の危機に瀕している種)に指定されています。 石川県内では手取川水系の安産川(やすまるがわ)と熊田川、能登地方志賀町の米町川水系の一部の水路のみに生息が確認されているにすぎず、より一層の保護が必要です。 |
【水の郷百選】 「白山市美川地域 〜 霊峰白山に抱かれれる清き水の郷(くに)」
水環境保全の重要性について広く国民にPRし、水を守り、水を活かした地域づくりを推進するため、 地域固有の水をめぐる歴史・文化や優れた水環境の保持・保全に努め、水と人との密接なつながりを 形成し、水を活かしたまちづくりに優れた成果を上げている107地域を、「水の郷百選」として、 国土交通省が認定しました。 |
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【平成の名水百選】 「白山美川伏流水群」 環境省認定 平成20年 白山美川伏流水群の殆どは安産川の周辺の湧水で白山の頂上から100年掛けて湧き出る水だと言われています。 写真左は主な遊水地で、看板が設置されています。 安産(やすまる)銘水 |
【日本のなぎさ百選】 「小舞子海岸」
「日本の渚・百選」は、平成8年から「海の日」が国民の祝日となったことから、その機会に「海」の持つ重要な 役割を改めて広く国民に認識してもらうとともに、海の恵みに感謝し、海を大切にする国民の心をはぐくむことを 目的として、全国から、景観資源としての特色、海保全及び環境保全等の対策、生活者との深い関わり合い等の 観点から、優れた「渚」を選定したもので、農林水産省、運輸省、建設省、環境庁などの後援を受けて実施されました。 選定にあたっては、学識経験者による選定委員が、全国の都道府県から推薦された「渚」と、一般国民から応募 された「渚」から、「日本の渚・百選」にふさわしい渚の選定が行われました。対象は湖沼等の内水面も含まれております。 |